2013年9月29日日曜日

分析005

次回の動画投稿は10月6日(日)前後を目安にお願いします。最終期限は10月13日(日)となります。


良い点から書くと、フォロースルーの重心移動がだいぶ一塁側に向かうようになってきて、着地した右脚にだいぶ体重が乗るようになってきました。そして、グラブとボールの割れ方(タイミングとリズム)は相変わらず素晴らしいです。

しかし、それ以外の点については、ここまで書いてきた内容が抜けて来た感じです。まず、最も気になるのが、後ろ脚股関節が割れていない事で、このくらいのスタンス幅(ちょうど良い)なら、股関節はもう少し割れている必要が有ります。

この写真くらいの脚の形が良いです。

そして、まだ前脚で蹴って脚を挙げています。そのため、前脚の挙げ方が良く有りません。最も気になったのは、この2点です。

フォーム的には、以下のポイントをもう一度、再構成してください。

1)後ろ脚股関節を割って構える
2)前脚の足首で蹴って脚を挙げない
3)前脚の挙げ方

ただ、根本的にはもっとパワーを向上させて行く必要が有ります。そして、そのテーマは「ハムストリングスと腸腰筋を使えるようにして黒人の動きに近づく」「後ろ脚股関節のパワーアップと機能性の向上」「投球腕側のパワーアップと柔軟性の向上」の3つがメインです。

(腕に負荷がかかり、上半身に筋肉が付くので)時期的に、難しい取り組みですが、長いスパンでの取り組みが可能なら、上半身と下半身を同時に鍛える方法として、短いマスコットバットを用いて、巻き戻し連続素振りをすると良いでしょう。このとき、捻りを強調して構えると、右脚と右腕を鍛える事が出来ます。

巻き戻し連続素振り


捻りを強調して、短く重いバットを振る練習


 捻りを強調する事で、後ろ脚股関節が割れ、タスキラインが引き伸ばされるので、トップハンド側と後ろ脚側の力を使えます。




ただ、こうしたバットを振る練習には投手の場合、二つの「フォロー」が必要になります。それは以下の通りです。

1)肩関節の柔軟性が低下しないように、素振り後にストレッチ&シャドーを行い、腕を回しておく。

2)前腕部の筋肉に張りが出来ると、手首が柔らかく使えなくなるので、その辺もストレッチなどで気を使って行く必要が有る。また、前腕部の筋肉が肥大すると腕を振る際の重りになってしまう。(なので、時期的には書きにくい練習メニューなのです。)また、構えを長く取ると、上半身の筋肉が緊張しやすいので、それもさける必要が有る。

上記2点を考慮した上で行うなら、素振りは効果的なパワートレーニングです。(球をほとんど見ていないので)技術はいざ知らず、まだまだパワーを向上させる必要がある事は確かです。そして、それは上記3つのテーマ全てに言える事ですが、今回は特に「右脚と右腕」について書きました。

まだまだ、身体の機能性を充分に引き出していない状態で、技術以前にベースとなるポテンシャルを引き上げる必要性が有ります。そして、そのためのテーマが上記3点だと言う事です。

3つのテーマ
「ハムストリングスと腸腰筋を使えるようにして黒人の動きに近づく」
「後ろ脚股関節のパワーアップと機能性の向上」
「投球腕側のパワーアップと柔軟性の向上」

ここで、林さん山下さんの取り組みを見てください。彼らは腸腰筋とハムストリングスのトレーニングを充分に行ったため、下の動画のようにフォームが変化しました。もちろん、これはラボの理論自体が改良された事も有りますし、また全力投球か否かの違いも有るでしょう。しかし、フォロースルーでの後ろ脚の出方はトレーニングの成果が良く現れていると言える部分です。この後ろ脚の着地の力強さに、黒人化の成果が見られます。

こうした前例をサンプルとして平田さんの現状のフォームも見ると、まだ取り組み始めた初期段階の状態だなと思えるわけです。ですから、まだまだパワーは向上していくと言う事です。黒人に近づくという事をどこまで真剣に考えるかで、その後が違ってきます。

彼らの躍動感、重心移動の力強さを見てください。これが、腸腰筋とハムストリングスの成果です。こうした能力は、日本の環境で、普通に野球をやっているだけでは身に付かないので、まだ平田さんも、そうした能力が開発されきっていないのですが、それは仕方が無い事で、これからやっていくと、彼らのような躍動感が出て来るでしょう。

楽天の則本なんかは結構打たれてる印象ですが、それでも勝ち星を挙げています。ああいう感じなら十分、可能性は有ると思います。

今回は以上です。




2013年9月12日木曜日

分析004

次回の動画投稿は9月19日(木)前後を目安にお願いします。最終期限は9月26日(木)となります。



前回、書いたポイントは良い感じで改善されています。脚の挙げ方も、ひとまず、無理の無い感じで出来ているので良いと思います。この脚の上げ方は「ピッチャーズハイキック」でも練習出来ますが、練習すれば感覚が磨かれて行くので、ハムストリングスや腸腰筋のストレッチを行ないながら、モノにしていって下さい。ピッチャーズハイキックで膝が胸につくようになるのは、ハムストリングスの柔軟性が必要です。また外国人の投手を見て、イメージを掴んで行く事も重要です。

今回、フォーム的に気になるのは、これは以前「手を身体に近づける事でハムストリングスが使える」と書いたからなのですが、肘まで身体に付けてしまう事によって、背中がペシャンコになってしまっている事です。

こうなると、胸椎が後弯しないので、脊柱のS字カーブが不十分になるので、骨盤が前傾しにくく,逆にハムストリングスが使いにくくなります。

図)肩甲骨の外転と胸椎の後弯の関係

ですから、下の写真のように、肘は身体の前に出す事で、肩甲骨を外転させた方が良いです。手首を前に出し過ぎると良く無いと言う事です。

この事とも関係ありますが、構えた時の立ち方で良い姿勢を掴むための方法を紹介します。まず、腰を反って腸腰筋をストレッチし、その反動で股関節が僅かに屈曲(今のピッチングの構えくらい)し、胸椎が後弯、膝が緩んだ姿勢を作ります。図には書いてませんが、手もピッチングの構えの位置に起きます。目線はやや下に落として、荷重は踵よりの3点支持です。ややこしければ、「胸椎の後弯と膝の緩み」の2点を意識すれば良いでしょう。後はそれに付随して着いて来ると思います。この体勢で、踵小刻みステップ(踵で小刻みに、素早く地面を叩く)が出来るはずです。

とりあえず、今回、フォーム的な事については以上ですが、平田さんの場合、投手、特にプロ野球の投手として見た場合、小柄な部類に入ると思います。また、体形的にもどちらかと言うと,ショートとかセカンドみたいな感じです。

投手の場合、基本的には背は高くなくても、手足の長い、痩せ型体形が多くなると思います。こうした手足の長いタイプの場合、指も長いでしょうから、指先でスピンをかけるのに有利で、スピンのかかった、いわゆるキレの有るボールを投げて来ます。

ダルビッシュの場合、腕は短いですが、変化球バイブルに載っている手の原寸写真を見ると、やはり手はかなり大きいです。こうした投手と争って行く上で、同じように「スピンのかかったキレの良い球」で勝負しようとしても勝てないでしょう。それも重要な要素ですが、+アルファあるいは別の方法が必要になると言う事です。

動画)手足が長く、スピンの効いた球を投げるクレイ・バックホルツ。このタイプだと、それほどハムストリングスを上手く使えなくても球速が出る。

ただ、平田さんのような体形には、体幹で生み出した力が末節に伝わるのが速いと言う長所が有ります。リッキー・ヘンダーソン等は、その典型でしょう。このタイプは体幹の力が強ければ、凄いスピードを発揮出来ると言う長所が有ります。ですから、こうしたタイプは、体幹、下半身の力を強化し、スピン量の少ないぶんをカバーしていかなければ、なりません。

動画)リッキー・ヘンダーソン 骨盤の前傾が凄い。かなり腸腰筋が強かったと推察される。

それが出来た場合、どういう球になるのかと言うと「キレの良い球」の対極にある「重い球」です。腕のムチの長さを使えなくても、ハムストリングスが上手く使えて、身体の移動を上手く使える投手の球は重いストレートになります。

ケルビン・へレーラ等は、まさにそのタイプですが、ホセ・バルベルデジョニー・クエトもそういうタイプです。彼等は腕のムチはあまり使いませんが、その代わり体幹の力を使う事で、重いストレートを投げています。この事を極めて行けば、手足の長い投手に勝つための武器として使えるでしょう。因に、彼等の投げる球が若干放物線を描くのは、いわゆる「スピンの綺麗なバックスピンストレート」では無いからでしょう。

※)あくまでも私見ですが、「軽い」球は、おおしにしてバックスピンで、マグナス力が働くので沈まずに直進性が高いのですが、初速と終速の差が出ます。一方、「重い」球は、たいてい、回転がバックスピンでは無い感じです。そのぶん、マグナス力が働かずに、沈みますが、重力に逆らわずに沈む事もあって、初速と終速の差は小さいです。どちらにしても、基本的な力が有れば良い球になり得ます。

ホセ・バルベルデ

ジョニー・クエト 0.22〜 0.33〜(93マイル) 0.52〜(94マイルのライジング気味のストレート)

なので、ハムストリングス、大臀筋、そして腸腰筋を中心とした下半身の力と、体幹の力を強化して行く事で、上記のような「重いストレート」を目指して行く必要があります。

もちろん、肩、肘をやわらかく回して、スピンをかける使い方も非常に重要なのですが、それを極めただけでは、限界が有ると言う事です。(バックホルツのようなタイプと比較すると)

ただ、体幹を鍛えると言っても、一般的な「腹筋」「背筋」はかなりやっても、さほど効果は有りません。(やった事が有るので、解ります。)

かと言って、バーベルを使ったウェートトレーニングは、肩、肘の故障を含めたデメリットの方が気がかりです。

そこで何をやれば良いのかと言うと、まずやはり、ラボで行なっている塚口式の股関節トレーニングを徹底的に行なって下さい。もちろん、テーマは「腸腰筋 ハムストリングス 股関節の割れと絞り」です。重いバットを振るのも良いですが、時期的には、実技の細かい感覚に及ぼす悪影響が懸念されます(振り過ぎると、前腕の筋肉が張って、指先の感覚が鈍ったり、走らなくなる)から、今は股関節のトレーニングを中心にすると良いでしょう。

もちろん、股関節トレーニング等も、試合前日などにやり過ぎると、筋肉が回復する前に試合になると言う事は有りますが、だいたいの場合、大丈夫です。逆に言うと、試合前に、多少やっても大丈夫なように普段から鍛えておく事が重要になるのです。

今の平田さんの今のフォームは、平均的な日本の投手より、フォロースルーでの重心移動は強いですが、理想と比べると、まだまだ、重心移動の力が弱いです。手足が長く、指でボールにスピンをかけて、キレの有る球を投げようと言うタイプなら、今くらいの重心移動で充分です。しかし、平田さんの体形で、体幹の力を使って、重い球を投げて行こうと考えると、もっと重心移動が強くなる必要があります。

「投げるリッキー・ヘンダーソン」

これを目指していってください。

今回は以上です。

2013年9月8日日曜日

分析003

次回の動画投稿は9月15日(日)前後を目安にお願いします。最終期限は9月22日(水)です。



まず、脚の挙げ方に問題が有ります。難しい部分が有るので、ブログでは敢えて書かないでいたのですが、これ以上の球速を求めようとすると、避けて通れない問題です。

ノーラン・ライアンはピッチャーズバイブルの中で、「トム・ハウスは爪先を下げて脚を挙げろと言っているが、私は爪先を挙げた方が良いと思う。」と書いています。

爪先を下げて前脚を挙げると、爪先からの着地になりやすい事は事実でしょう。これだと、どうしても着地は弱くなり、それが原因で前脚の膝の角度も変わってしまう可能性があります。


そもそも、なぜ爪先が下になるのかと言う事ですが、平田さんの場合、脚を挙げる時にセンター方向に重心移動しようとして、無意識で足首で蹴っているのです。この動きは、足関節の底屈と言いますが、腓腹筋を使います。腓腹筋が収縮すると、膝が曲がるので、前脚を挙げる時に、腓腹筋が収縮すると、膝が曲がり過ぎて大腿四頭筋を引っ張り、大腿四頭筋が収縮します。こうなると、着地後にハムストリングスが使いにくくなる事などが考えられます。そうすると、着地後に前脚で体重を支える力が弱くなるでしょう。
一般的には、膝を畳もうと意識する事で腓腹筋が収縮し、爪先が下になる事が多いと思いますが、平田さんの場合は、後ろに重心移動しようとして、足関節の底屈を使っているのが原因だと思います。

前脚の挙げ方は、下の動画のような挙げ方にした方が身体の力を使えます。これは、ピッチャーズハイキックと同じ動きです。

コツとしては前脚の足首で蹴らないようにすることです。足首を底屈させずに、角度を保ち、蹴らずに外すような感覚で挙げる事と、より体幹に近い、股関節、骨盤を使って脚を挙げる事です。膝は股関節の屈曲に伴い、ハムストリングスが伸張するので、その伸張反射で勝手に曲がるのは、ピッチャーズハイキックと同じです。ですから、膝は意識して曲げる必要はありません。なお、後ろに重心移動しようとして、蹴る事で足首が底屈しているわけですから、もう少し「抜いて脚を挙げる」感覚を追求した方が良いでしょう。ただし「抜き」になり過ぎて、全く「乗せ」が無くなると、後ろ脚のパワーが出なくなるので、そのさじ加減は自分で見つけて下さい。いずれにしても、抜く感覚にした方が下図のような脚の挙げかたは、やりやすくなります。

ただし、この脚の挙げ方をした時、一つだけ気になるのは、動きがダイナミックになるので、バランスを崩して制球が乱れないかどうかと言う事だけです。これが、書くことを躊躇して来た理由ですが、球威を出したいなら、この脚の挙げ方は必須です。

次に、もう一つ気になるのは、指をグラブから出すクセです。これをすると、指でグラブを押さえるのがクセになって、逆にやらないと違和感を感じるようになるものですが、これをやると、前腕部などの末端部が力に易くなるので、直した方が良いクセです。



指でグラブを押さえると、前腕部の筋肉、特に手の甲側の筋肉が緊張すると思います。その前腕部の手の甲側の筋肉は、手首を背屈させる筋肉です。

投球腕が下に下がった時、手首が背屈しているのも、左右の腕が無意識に同調しているからかも、しれません。

下の下げた時の手首は、写真のような掌屈気味か、あるいは真っすぐの方が良いです。その方が、ボールを下に残して、肘から挙る形が作りやすくなります。もちろん、意識的に強調したらダメですが、要は、そうなるように、グラブの中に手が有るうちから、前腕部が力んで手首が背屈しないように、気をつけておいた方が良いと言う事です。


テークバックでの腕の回転が良い投手と言うのは、基本的に手が下がった時に、手首が背屈していない方が多いでしょう。下の3人も、その例です。

アロルディス・チャップマン

チャーリー・ファーブッシュ

フランシスコ・ロドリゲス

まとめ

脚の挙げ方を研究、練習した方が良いでしょう。この脚の挙げ方をするには、ハムストリングスの柔軟性や腸腰筋を使える事が重要になります。ハムストリングスのストレッチや腸腰筋のトレーニングを行なうと共に、ピッチャーズハイキックで練習すると良いでしょう。JHETTさんがほぼ完璧(手と脚がぶつかる部分以外は)に出来ているので、動画を参考にしてください。

脚の挙げ方については、時期的に難しいモデルチェンジかもしれませんが、現状の平田さんの状態と、ノーラン・ライアンの形を両極端と考えると、少しでもノーラン・ライアンの形に近づけるようにしていってください。

また、グラブから指を出すクセを無くした方が良いです。その方が、末端から体幹に意識がいきます。それと同時に、投球腕が下がった時に、手首が背屈しないように、構えた時の手首の形などを考えた方が良いでしょう。

今回は、以上です。